「すべてのウナギは規制対象基準を満たさない」FAOが審査結果を公表
— FAOによる審査/EUのワシントン条約規制提案に関して —
国連関連機関であるFAO(国連食糧農業機関)は20日、EUが今年6月下旬にCITES事務局へ提案を行い、日本ウナギを含む合計19種のウナギをワシントン条約附属書Ⅱに掲載するよう求めたことについて、審査の結果を公表した。FAOは審査の結果、すべてのウナギの種がワシントン条約に掲載される基準を満たしていないと結論付けた。
ワシントン条約締約国会議は、今年11月24日から12月5日にウズベキスタンで開催される。EUが6月下旬に提案を提出したため、FAOは規定に従い、会議前に提案内容の適切性を審査し、7月下旬から評価を開始した。
今回のEUの提案について、FAOは「日本ウナギおよび関連する集団の資源量は依然として十分であり、絶滅リスクは低い。国際取引と日本ウナギの個体群全体の減少との直接的な関連性を指摘する意見はあるものの、十分な証拠はない」と述べている。そのため、FAOはすべてのウナギ種がワシントン条約掲載の基準を満たしていないとの結論を下した。
さらに、アメリカウナギについてもFAOは「主要な生息地(カナダ・ノバスコシア州、アメリカ・メイン州など)では地域的な管理枠組みで漁獲が規制されており、北米広域の分布域(グリーンランドから南アメリカ北部まで)では実際に漁業活動が行われるのはごく一部であるため、漁業が個体群数の減少の主要因であると確実に認定できる根拠はない」と指摘。これに基づき、FAOはアメリカウナギの絶滅リスクも低いと判断した。
一方で、FAOは「ウナギをワシントン条約附属書に掲載するよりも、保護活動と資源管理を強化することが、ウナギ資源の持続的利用を確保するより効果的な方法である」と強調した。しかし、業界関係者は慎重な姿勢を取り、「過去にもFAOが提案を『不適切』と判断したが、最終的には締約国会議で承認された例があるため、油断はできない」と指摘している。